万葉集を現代に蘇らせてみよう
万葉集は決して難しいものではありません。
古代の人々が感じた事、伝えたい事を和歌という形で表現したもので現代のSNSにとてもよく似ています。万葉集の歌を現代人である皆さんの感性で感じてみてください。
ここでは万葉集に親しむ為のコツをいくつかご紹介します。
1.自分の好きな歌を探してみる。
教科書に載っている歌、万葉集の有名な歌を集めた本やサイト、自分の住んでいる場所にちなんだ歌、など何でも結構です。いくつかの歌の中から自分の気に入った歌を探してみてください。共感できる歌、感動する歌がきっとみつかるはずです
2.一回原文のままで読んでみる。
数ある歌の中には現代文とは全く異なった仮名遣いや言葉が使われている歌もあれば、何となく意味がわかりそうな歌もあります。次の二首、何度か読んでいると何となく情景が浮かんできませんか?
- (1) 我が背子(せこ)を、大和へ遣(や)ると さ夜(よ)更(ふ)けて 暁(あかとき)露(つゆ)に 我れ立ち濡れし
- (2) 我が背子(せこ)と ふたり見ませば いくばくか この降る雪の 嬉しくあらまし
(1)の歌は、私の背子を大和へ遣る、つまり送り出す時の私の情景だという事はわかりますよね?(2)の場合は、私の背子と二人で雪を見て嬉しくなったのかな? という事くらいはわかりますよね?問題は背子です。背子は女性が男性を親しんでいう語です。夫や恋人、男の兄弟などが一般的ですが、男同士が互いを親しんで呼ぶ場合にも使われます。このような知識は歌を読んでみて後から調べても良いと思います。枕詞も同様です。知らなければ意味がわかりませんが、例えば「たらちね」は母の、「あをによし」は奈良の枕詞というルールは後からでも構わないので覚えておきましょう。
3.歌の情景に自分を重ねてみる。
例えば先ほど例にあげた、我が背子(せこ)と ふたり見ませば いくばくか この降る雪の 嬉しくあらましという歌は、「私の夫と二人で見る事ができたら、どんなにか今降っている雪を見るのが嬉しかった事でしょう」という歌だという事は何となくわかりましたね?感動を愛しい人と共有したかった。というのは皆さんにも分かり易い感情ではないでしょうか?
親しんで、感じて、楽しむ事で万葉集は現代に蘇ります。