何故万葉集を学ぶのか?

万葉集に限らず古典はとっつきにくいと考えている人がほとんどです。

確かに旧仮名遣いや文法など現代文との違いにとまどう事もあるでしょう。昔の文学を学んで将来何の役に立つんだろう?と考える人もいるかもしれません。

古典を学ぶという事は、何も昔の文学作品を読みこなす為の知識を身に着けるだけではありません。

もちろん文法や仮名遣いなどを習得すれば、それだけ古典の読解力も深まるので古典に親しんでみたい人には必要な技術です。古典に親しんでみたいという気持ちはどこから湧いてくるでしょうか?日本古来の文学作品を読む事を教養の為と割り切ってしまうと興味が薄れるかもしれません。

万葉集は現存する日本最古の歌集です。

掲載されている歌は役4500首、天皇から庶民に至るまで、日本全土で詠まれた歌が収められています。日本の歴史を知る上でも一級の資料です。昔の人の考えや当時の生活をうかがい知る事もできます。言葉というのは民族の文化そのものです。日本の文化遺産を継承していく事も大切です。最も大切な事は、具体的に作品に触れてみて共感したり感動したりする体験だと思います。

古代の日本人が何を見てどのように感動したのか?

例えば万葉集で詠まれている美しい景色の場所に立って万葉の詠み人が何を感じたのか、自分はその景色を思って何を感じたのか? 全く違う感想を抱く事もあるかもしれません。もしくは意外に共感できる事もあるかもしれません。それは他人に対する想いを詠んだ歌についても同じです。